「筋肉痛が翌々日にきた……もう若くないのかな」 トレーニングをしている方なら、一度はこんな会話をしたり、不安に思ったりしたことがあるのではないでしょうか。
「筋肉痛がこないと効いている気がしない」「年齢のせいで反応が遅い」といった、トレーニング界に根強く残る筋肉痛の常識。実は、最新の科学ではその多くが否定されていることをご存知ですか?
今回は、プロのトレーナー目線で「筋肉痛の正体と、よくある3つの勘違い」について、徹底解説します!
多くのトレーニーが陥る罠が、「筋肉痛=トレーニングの成果」という思い込みです。しかし、2002年に行われた興味深い研究が、この常識を覆しました。
研究では、被験者にトレーニングを行ってもらい、「本人が感じる筋肉痛の強さ(10段階)」と「実際の筋繊維のダメージ(10段階)」を比較調査しました。その結果は驚くべきものでした。
猛烈な筋肉痛があるのに、筋繊維に目立ったダメージがない。
逆に、筋肉痛を全く感じていないのに、筋繊維にはしっかりダメージがある。
このように、筋肉痛の有無と筋繊維の損傷状態には直接的な相関がないことが判明したのです。つまり、「筋肉痛がこなかったから、昨日のトレーニングは無駄だった」と落ち込む必要は全くありません。筋肉痛がなくても、筋肥大のスイッチはしっかり入っているのです。
筋肥大において最も重要なのは、筋肉痛の強さではなく、「週あたりのトレーニングボリューム」を段階的に増やしていくことです。
ボリューム = 使用重量 × セット数 × 回数
先週よりも重いものが持てたか、1回でも多く上げられたか。この「過負荷の原則」に基づいた進歩こそが、体を変える唯一の近道です。
筋肉痛には、トレーニング中に感じる「即発性筋痛」と、運動後12〜48時間経ってから現れる「遅発性筋肉痛(DOMS)」の2種類があります。私たちが一般的に呼ぶ筋肉痛は、後者のDOMSです。
驚くべきことに、DOMSの研究は1902年から100年以上続けられていますが、その詳細なメカニズムは現代医学をもってしても完全には解明されていません。
現在、最も有力とされているのは「炎症反応説」です。
トレーニングにより筋繊維やその周辺の組織が損傷する。
損傷部位を修復するために、白血球などの血液成分が集まり、炎症が起きる。
この過程で痛み物質(ヒスタミンやセロトニンなど)が発生する。
その物質が「筋膜」にある神経を刺激し、脳に「痛い!」と伝わる。
筋肉そのものよりも、その周りを覆う「筋膜」が痛みを感じているというのが今の通説です。
なぜ、同じトレーニングをしても筋肉痛がくる時とこない時があるのでしょうか。それには明確な「条件」があります。
筋肉が伸びながら力を発揮する動作です。例えば、ダンベルを「持ち上げる」時よりも、重さに耐えながら「下ろす」時の方が、筋繊維への負担が大きく、強い筋肉痛を引き起こします。
筋肉が最大限に伸びきった状態で強い負荷がかかる種目(ダンベルフライやルーマニアンデッドリフトなど)は、筋肉痛が非常にきやすい傾向にあります。
長期間使っていなかった筋肉を動かしたり、普段やらない慣れない種目を行ったりすると、神経系や組織が対応できず、強い炎症反応(筋肉痛)が起こります。
さて、ここからが本題です。皆さんが信じているその常識、実は間違いかもしれません。
「若い頃は翌日にきたのに、今は2日後にくる。歳かな……」というのは、実は医学的な根拠がありません。 筋肉痛がいつくるか、どれくらい強く感じるかは、年齢よりも「運動の強度」と「個人の遺伝的要因」に左右されます。 強度の低い運動(ダラダラ歩くなど)は痛みが出るまでに時間がかかり、強度の高い運動は早く出やすい傾向があります。たまたま強度の低い運動をした際に「遅れてきた」のを年齢のせいにしているケースが多いのです。
意外かもしれませんが、多くの研究で「運動直後のストレッチには筋肉痛の発生や強度を抑える効果はほとんどない」という結果が出ています。 もちろん、血流を良くする意味ではプラスですが、すでに炎症が始まろうとしている組織を無理に伸ばすことが、必ずしも痛みの緩和に直結するわけではありません。
BCAAやグルタミンなどのサプリメントは、筋肉の合成を助け、筋肉痛を「和らげる」補助にはなりますが、完全に無くしたり、一時的に消したりする魔法の薬ではありません。あくまで栄養補給の一環として捉えましょう。
筋肉痛は、筋肥大の必須条件ではありません。しかし、「その部位に刺激が届いた」という一つの目安にはなります。
筋肉痛がきたら、脳が「今はその部位を動かさないで!」とサインを出している状態です。無理をしてトレーニングを重ねるのではなく、しっかりと栄養と休養をとり、回復に徹することが、結果的に筋肥大への一番の近道となります。
また、「いつも同じ部位ばかり筋肉痛になる」「全く筋肉痛がこなくて不安」という方は、フォームや種目選択を見直すタイミングかもしれません。
【オススメ記事はこちら】
チートデイの頻度や周期はどれぐらい?体脂肪率からチートデイの間隔を割り出す方法
https://www.outline-gym.com/archives/612
筋トレがメンタルを強くする?筋トレによるメンタル/精神の変化と効果について
https://www.outline-gym.com/archives/2895
ヒップスラストでお尻を効果的に鍛える!負荷の重量やおすすめのマシンも紹介します
https://www.outline-gym.com/archives/2636
糖質制限の初期段階における症状とリスク&改善策
https://www.outline-gym.com/archives/732
女性が確実に痩せる筋トレ方法はあるの??自宅/ジムで出来るトレーニングをご紹介