リモートワークの普及や外出自粛など、私たちのライフスタイルはここ数年で大きく変化しました。
おうち時間が増えたことで、「せっかくジムで続けていたボディメイクの成果が出にくくなった」「在宅太りをしてしまった」と悩んでいるトレーニーやダイエッターの方も多いのではないでしょうか。
生活環境の急激な変化は、私たちが思っている以上に、減量やボディメイクに深刻な影響を与えています。
今回は、外出が減る生活が体に与える「3つの大きな影響」を栄養学・生理学的な視点から紐解き、今まで積み上げてきた努力を無駄にしないための実践的なライフハックをご紹介します!

「食事の量は変わっていないのに、なぜか体重が増えていく…」 その原因は、1日の消費カロリーの大部分を占める「活動代謝」の低下にあります。
人間の1日の総消費カロリーは、大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。
① 基礎代謝(約60%): じっとしていても、呼吸や心臓の鼓動、体温維持などのために勝手に消費されるカロリー。筋肉量や体格によって個人差があります。
② 活動代謝(約30%): 通勤・通学、家事、仕事中の移動、そして筋トレやスポーツなど、日常生活で体を動かすことによって消費されるカロリー。
③ 食事誘発性熱産生(約10%): 食事をして食べ物を消化・吸収するときに、胃腸などの内臓が動くことで消費されるカロリー。
一般的に、これらの代謝の割合は「6:3:1」の比率と言われています。
例えば、普段は外回りが多い仕事をしていて、ジムでの筋トレも習慣にしている方の1日の総消費カロリーが「3,000kcal」だったとします。この場合、活動代謝(30%)にあたる部分だけで約900kcalを消費している計算になります。
しかし、仕事がリモートワークに切り替わり、ジムにも行けなくなって自宅で過ごす時間が増えると、歩数や活動量は激減します。
仮に、活動代謝が半減して「450kcal」になってしまったらどうでしょう? これまで消費カロリーに合わせて3,000kcalの食事を摂っていた場合、毎日450kcal分のエネルギーが丸々オーバー(過剰)になり、体脂肪として蓄積されていくことになります。
【プロのアドバイス】食事量の「再評価」をしよう 環境が変わって活動量が落ちたときは、それに応じて食事のボリュームやPFCバランスをコントロールする「見直し」が絶対に欠かせません。カロリーオーバーを防ぐ引き算の意識を持ちましょう。
「家で過ごすようになってから、腕や脚が細くなって筋肉が落ちてしまった気がする…」と焦る必要はまだありません。それは、筋肉そのものがゴッソリ減ったのではなく、「筋グリコーゲン」が減少しているサインかもしれません。
私たちが摂取した糖質(炭水化物)は、体内で分解され、筋肉の中に「筋グリコーゲン」という形で貯蔵されます。これは、ウエイトトレーニングなどの高強度な運動を行う際の、いわば「ガソリン(エネルギー源)」です。
しかし、運動の頻度が減ったり、自宅でのトレーニングで負荷が軽くなったりすると、体は「今はそんなにガソリンを蓄えておく必要がないな」と判断します。これは、限られたエネルギーを効率よく使おうとする、人間の自然な生理システム(適応反応)です。
ある研究では、「3週間まったくトレーニングを行わないと、筋肉内の筋グリコーゲンの貯蔵タンクが半減する」というデータも出ています。
筋グリコーゲンが筋肉内に貯えれられるとき、実は1gに対して約3gの「水分」を一緒に引き込むという性質があります。
そのため、運動不足によってグリコーゲンが減ると、連動して筋肉内の水分量も抜けてしまいます。トレーニングを休んで1週間ほど経ったときに「筋肉が細くなった」と感じるのは、筋肉の繊維が失われたからではなく、水分が抜けて一時的に筋肉の張り(パンプアップ感)や血流量が落ちているからなのです。
見た目のサイズ変化は一時的なものですが問題は中身です。筋グリコーゲンが枯渇した状態のままでは、いざトレーニングを再開したときに力が出ず、高いパフォーマンスを発揮できません。 自重トレーニングであっても、しっかりと負荷を意識した「家トレ」を継続し、貯蔵タンクを少しでも維持する取り組みが大切です。
現在の生活環境の変化は、私たちのメンタルにも見えない負担をかけています。外出制限や慣れない人間関係の距離感は、心理的ストレスを引き起こし、体内では「コルチゾール」というホルモンが多く分泌されるようになります。
コルチゾールは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれ、過剰に分泌されるとボディメイクにおいて以下のような最悪の悪影響を及ぼします。
筋肉を分解してしまう(カタボリックの促進)
新しい筋肉が作られるのを邪魔する(筋肥大の抑制)
脂肪を溜め込みやすくする
コルチゾールは、長時間の過度なハードワークや深刻な空腹、睡眠不足などでも分泌されますが、最も分泌量が増える引き金になるのが「心理的なストレス(緊張、不安、閉塞感)」です。
イライラや強いストレスを一時的にリセットしたい場合、150mg以上のカフェイン(コーヒー約1.5〜2杯分)を摂取することで、コルチゾールの分泌を一時的に抑制し、気分を落ち着かせる効果が期待できます。
しかし、これはあくまでその場しのぎの応急処置。長期的な目線で筋肉や健康を守るためには、自分に合った根本的なストレス発散方法を見つけてあげることが重要です。
①の「活動代謝の低下」と、③の「ストレスホルモンの増加」。この2つの大きな問題を同時に、かつ手軽に解決してくれる最もおすすめの方法が、屋外での有酸素運動(散歩やランニング)です。
どれだけ外出に制限や自粛が求められる状況であっても、健康維持のための屋外での運動は基本的に禁止されていません。
ずっと家の中に籠もり、太陽の光を浴びない生活が続くと、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が不足し、メンタルが塞ぎ込みやすくなります。
人混みを避けた時間・場所で行う
家の周りを20〜30分ほど「早歩き」で散歩する
ベランダや庭に出てストレッチをする
これだけでも、普段の生活で減ってしまった活動代謝(消費カロリー)を補うことができ、さらにストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量をガクッと減らす効果が期待できます。外の空気を吸うことは、体だけでなく脳のリフレッシュにも最適です。
思うように外出ができない環境は、私たちの体にとって多くの変化をもたらします。
動かない生活は「活動代謝」が落ちるため、食事の総カロリーを少し抑えて調整する。
サイズダウンは筋肉内の「水分とグリコーゲン」の減少。家トレでガソリンタンクを維持する。
閉塞感によるストレス(コルチゾール)は、筋肉を破壊する。人混みを避けた「散歩」で心身をケアする。
今までジムや屋外で積み重ねてきた努力は、決して無駄にはなりません。 現状をただ嘆くのではなく、「今、家やその周辺でできる最善のことは何か?」をポジティブに考え、賢くアプローチを変えていくことこそが、ボディメイクを成功させるための本当の強さです。
難しい状況下ではありますが、心も体も穏やかに、一歩ずつ進んでいきましょう!

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